みなさん御存知、デッドニングはボディーへのスピーカー音、共振防止対策の事です。
メーカー標準仕様の場合、ほぼ大半の車種は全くと言ってよい程、対処されておりません。
困ったモノで、「8スピーカー」「12スピーカー」等、質より量!という方向性のみの追求が、
未だに横行しているようです。
それはさておきスピーカー再生、裸のスピーカーユニットをそのまま置いて、問題無いのは、
高域を担うユニットだけです。 中低域、特に低域に関しては、スピーカーボックスの設計により
同じユニットでも、何でこんなに違うのか?、と驚くほど差が出る事が多いですね。
どんなに優れたユニットでも、そのスペックを生かすも殺すも「箱」次第と言っても過言ではありま
せん。箱込みでやっと「スピーカー」として生かされるのです。
カーオーディオの場合、そのとても重要な「箱の板」部分が「鉄板」になってしまう訳で、先ずは
そこに何の対策もしないと言う事は、オーディオ的見地から見れば、まさに恐るべき、あるまじき事です。
簡単に言えば、スピーカーユニットは構造上、前面に出る音量と同等の音量を背面にも発しており
特に「低音域をどう制御するか!」そこがとても大きな問題なのです。
例えば、オーディオを掛けてドアを閉め、外からドアを触ってみてください。 耳で聞こえる以上に
かなり低域でドアが共振している様子を、まざまざとお分かり頂けると思います。
ユニットの背面に放出される大音量。これがたった10cm程先にある「ドア外鉄板」を直撃。
想像通り思いっきり共振させている訳ですね。計測器は所持しておりませんので正確には分かり
ませんが、共振周波数は結構低い所にあります・・・。 この無用の振動が車内に共振して
「低域のこもり」が発生している訳です。これでは音楽の心地よいビート感も何もあったモノでは
ありません。
どんな最高級品のスピーカーユニットにトレードインしても、デッドニング未対策では、全く以て
本末転倒です。『スピーカーをいじる前に、先ずデッドニングありき』カーオーディオの鉄則ですね。
TBも、オリジナル・オーディオは低域ボハボハ、コモコモでメリハリ無し!、、と言う状況ですが、
これとて少々手をかければ、かなり改善されるはず!
さぁ〜〜て、現実はどうなっているでしょう?、、、
では、、開始です・・・。
第一弾:先ず、簡易デッドニング施工
ドア内張剥がしから始めます。手順は全国皆さんのHPで詳細書いておられますので割愛です。
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内張を剥がすとこの様な防水ゴムが現れます。 |
メキシコ製フロント2Wayスピーカー |
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メキシコ製リア、13cm
ダブルコーンスピーカー |
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開けてビックリの現状把握、、。スピーカー(以後SPと略)、なかなかなユニットです。メキシコ製だ!
前ドアは一応「16cm+金属ドーム」の2Way
うぅぅむ。ナルホドォ・・・。 ま、多くを語るなかれ〜〜!
後ドアはダブルコーンの13cm、驚愕のチープさ。思いっきり軽い!
マグネット、、付いているのかぃ???
単体で鳴らしても、どうしたらこんなに酷い音なのだろうと思える程のユニット。全帯域に於いて
ぬるく、奧に引っ込んだ音の印象。アキハで\500も出せばこれ以上のユニット、いっぱいあるぞ!!
流石にリアドアユニットだけは、2度と戻す気が起こりません。 想像の域を超え過ぎておりました。
SPを外してみると、GMとは言え、やはりメーカーは全く未対策ですね。…無垢の外鉄板が丸出し
です(>_<)。
さて、、デッドニング施工ですね。。。
一般的なクルマのデッドニングですべき事は二段階あります。
1)制振材:
厚めのアルミ等とゴム系接着部分の合わせ技で、鉄板の共振を押さえる役割。
よくメーカーの定義で《ドアのサービスホールを塞ぐことによって、ドアを密閉型スピーカーボックス
の様な状態にし、カーオーディオ本来のサウンドを引き出す方法》とか書いてありますが、果たして
そうでしょうか?
密閉型の場合、低域をタイトに心地よく出すにはかなり大きめな容積率を要求されます。
果たしてTB君・・・
どう考えても、ドア内の容積では疑問です。少ないですね。
ホーム・オーディオ用のボックスにヒントがあります。密閉型より「バスレフ型」や「バックロードホーン
型」等の方式が、F特としては多少荒れていても、音抜けの良さには軍配が上がる気がします。
豊かさも多く再現出来ます。
この応用で、音の多少の漏れは全く気にするのを止めました。TBの場合、インナーに貼ってある
重量感のある厚めのゴムのシールが意外と使い物になりそうで、敢えてサービスホールを埋める
方法は取りません。
オリジナル・防水ゴム(?)を生かしです。
バスレフ・ポートに関して、本来はキチンと計算しなければならないのですが、そこは「ナンチャッテ」
ですね。。。
2)吸音材:
スピーカーボックスで言えば「グラスウール」等になりますね。
内部に溜まった音を吸音させる目的です。
さぁて、今回はどの程度の変化があるのか、「お試しパターン」ですので、近所の店で安かった
エーモン製を取り敢えずゲット!
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お試しの制振シート/レジェ |
面積、今回きちんと計って行かなかったので適当に購入しちゃいました。
写真で御覧になってお分かりの通り、まさにスピーカーの背面はもろ「ドア・外鉄板」に音が直撃です。
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ほら、いきなり外鉄板!!! |
先ずは此処周辺を中心に制振材を貼っていきます。お試しで少な目に購入していたので、
今回はサイドインパクトビーム下側部分にしか施工出来ませんでした。
しっかりと外鉄板内側に貼り付け、外側からドア下部をノックしてみると既に差が出ております。
未対策「ゴ〜ン!」対策後「コツ・コツ」、、、余韻が全く変化しました。こんな少量でも意外と効果は
ありそうです。
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制振シートを貼り込みます。 |
さて、制振は出来てもドア内に音が廻りまくります。特にマズイのは中音域、音の特性として
中高域は直進します。
背面から発生された音が外鉄板の制振材に反射して、スピーカーのコーン紙にそのまま戻ってきます。
これが「定在波」と呼ばれ、音の濁りの原因となります。これを抑制!
非常に疑問に思ったのですが、市販の一般的なクルマ用デッドニング部材の吸音材。
材質のスポンジは許すとしても、何故表面が「平面」なのでしょうか? これでは上記の現象が
思いっ切り発生しますよ。謎です。
平面での音響面でのメリットは??? メーカーの採算性以外にはないのでは??
甚だ疑問に思います。
そこで私が目に付けたのは精密部品を購入した時にパッキン材として入ってきたこのボツボツ付
スポンジ。
これに向かって大声を上げ、反射度合いを検証。意外と行けそうです。
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採用した凸凹付き吸音スポンジ |
裏に両面テープを貼って採用してみます。あ! 厚みがどうでしょうか???
窓を降ろしてみると5cmまでは行ける。スポンジは何と5cm!! ダメか・・・。。。
しかし良く見てみると、ドアは下に向かって円弧を描いています。
って事はサイドインパクトビーム直下位置近辺であればどうだろう? ビンゴ! 擦りません。
写真の位置に配置しました。見るからに音を吸収しそうなルックスでしょ?
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リア部分のデッドニング(第一弾) |
今日の第一段階として、先行施工の前ドアスピーカーのみで試聴。
おっ!!! 何と、、、低域のこもり感、大夫解消されています。これは凄いかも、、、。
そうなると、当然リアも勢いで施工開始ですね。リアは貼る面積が小さいので制振材も少なくて済みます。
取り敢えず貼れるところは貼って、、、 残念ながら、今回購入した制振材は、売り切れ!
次なる問題は『リアドア用のユニット』を、どうするか?? です。
新規購入の予算はありませんので、何とか出来ないか、CPJ、しばし「考え中〜♪」
ここで一寸脱線。クルマ用SPユニットに対する日頃の疑問点を書いちゃおうかな?
カーオーディオ専用のSPユニット、価格設定が滅茶苦茶「ぼったくり価格」だと思いませんか?
アキハで数百円程度で売っているユニットの同等品を平気な顔をして数千円〜数万円で売っている。
買う方も買う方だとは思いますが、はっきり言って、、お金を掛けるのは「無駄」だと思いますね。
・・・特に、殆どの国産SPユニット、、。。。
オーディオ的にも、本音を言っちゃえば国産SPは"スペック重視"で音楽性、楽器の質感の再現性
は殆ど考慮に入っておりません。制作スタッフは「生の楽器の音」を聞いた事のない人間が殆ど
制作しております。
とても残念な事だと思いますが、現実なのです。よって、実際プロオーディオ界でも殆ど使われて
おりません。
ウチにも仕事柄SPセットが何種類もありますが、国産は、、、何と、、、ありませんね。。
特に注意! 皆さんがよく選択されているP社は超超〜〜タカビーですが、その割になかなか
○○○な音を出しておりますね。 ジャンキーな私は絶対に選択致しません。
尚かつ量販店でも何故か割引率が悪い。 皆さん、これに納得してはいけないと思いますよ。
〜〜で復帰!、、、熟考の結果、ウチにころがっていた古いBOSEのモニターM200片方だけ、
試しに外してみました。
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スタジオミニモニター200A |
このSPユニットは銘器11.5cmフルレンジ・シングルコーンです。巨大なマグネットと重量です。
これを外して、試しにリアドアオリジナルスピーカーと単体音色テスト。 うぅぅむ、ななな何と、
これはCDとAMラジオの差以上でした。 かなり凄いですね。 前ドアはまだ救いがありますが、
リアはやはり、、どうにもこうにも・・・。
さて、そうは思ってもユニットの大きさの差があります。02型LTは13cmユニットですので
当然ながら11.5cmユニットは小さすぎます。どうしたモノか、、、。
CPカスタマイズですので、「バッフルボード」を特注する余裕はありません。
自作以外に無いか、、、。ふと目に入ったこれを外した元のスピーカーボックス。
BOSEオリジナル箱です。 え〜〜い! このフロントバッフルごと、、戴きィッ〜〜!!
質感も良いハズ!!
決めたら速効ノコギリでバラシ。 結構時間は掛かりましたが、何とか切り出しに成功。
ドア内部に隠れてしまう部分ですので、多少のギザギザは気にしない気にしない!!
あ、SP交換の際は必ずバッフルボードを作る事、お奨め致します。
一般的にはMDFが良いようです。
材質は集積材らしいのではありますが、かなり質量が高く、重量もあり、反面加工しやすいですね。
オリジナルの「プラスティック」そのままでは此処でもまた、いらぬ「共振」が確実に生じます。
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バッフルごと切り抜いちゃいました(^^;) |
厚みが10mmありましたので、ドア内張との干渉が心配でしたが片側制作、仮留めしてパネルを
戻してみるとバッチリ、、約5mm程空いておりますので干渉は全くありません。
簡易デッドニング、例のスポンジも貼り込み、そこいらにあったグラスウールも何げに放り込んで、
セットオフ。
さぁ、、試聴だぁ。。。
おぉ、ほぼ構想の通りになりました。つまり、、オリジナル前ドアスピーカーの基本特性はぬるい
「ドンシャリ」。
中低域と高域しかありません。そもそも音楽に必要なのは「中域」です。人間の声で言えば
「芯」となる部分ですね。
その帯域がかなりディップしているので、BOSEのイイ面である「中域の押し出し感」を応用。
前後スピーカーのバランスで質感を調整してみよう! と言う構想でした。
リアスピーカーとは言え運転席に座る自分の耳の位置から計ると、リアドアスピーカー位置の方が
むしろ近い。
「前・後」という感覚はこの際かなぐり捨て、大きいスピーカーボックス(?)ヘッドホン(?)を想定して
車室内トータルでの音色作りをしてみようと言う事ですね。
ここでは、前後バランスを1つだけ前を大きめにしたバランスが割合心地よい感じがしました。
そう、今後に向けの構想として。5.1ch化も考えたのですが、自宅に98年に本格的サラウンドシステムを
組んでしまいましたので、5.1chのリスニングポイントの難しさは充分経験済み。
クルマはどうしてもセンター位置には座れません。、2chで充分です。
とは言え、2chで、何処までの事が出来るかのチャレンジですね。
さぁ、どうなる事か・・・。
試聴!
デッドニング効果、こんなにも違うか! と驚く程の違いが生まれました。
この程度のナンチャッテ・デッドニングでも低域のブーミー感がだいぶ薄れ、ベースとキックの
音像がキチンと分離。
簡易型としては、とてもイイ感じです。 メーカーでも、最低この程度はやって欲しいモノですね。
副産物として、おもしろい効果を体感出来ます。何だと思います?
そう、いきなりロードノイズが激減したのです。それもかなり!!! 驚きました。
Tweeter 追加前後設置へつづく
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